機体紹介など
この記事はMicro Mouse Advent Calendar 2019 の最終日です。
全日本大会の後、気が大きくなっていたのか、まともな文章を書けるわけでもないのに最終日にエントリーしてしまいました。ごめんなさい。
昨日の記事はもすさんの 壁切れ検知手法の紹介でした。
自分のブログ書くので手一杯でまだ読めてませんがめちゃくちゃいいことが書いてあるはずです。
少し期間が開いてしまいましたが、皆様、全日本大会お疲れ様でした。
去年の全日本大会では二位と悔しい思いをしましたが、今年はなんとありがたいことにロボトレース部門で優勝することが出来ました。
嬉しい気持ちもありますが、なにか何処となく寂しい気持ちもあります。
一年の振り返り?
今年の開発は去年の貯金(マシンの構成、マイコンの初期設定、大まかなアルゴリズムのフレーム)が残っていたこともあり、少し余裕をもって開発することが出来ました。といっても今年からジャイロや無線モジュールを積んだのでまあまあ手間取りましたが...あと基板設計CADもPCBEからEAGLEに変更しました。
一年通してアニキと神経をすり減らしながら戦っていた気がします。中でもびっくりしたのが、金沢大会から関西大会の一週間で、カーチスのファンユニットがブラシレス化してきたことです。あれには正直度肝を抜かれました。思わず「おじさん仕事して下さい。」って言っちゃった気がします。
関西大会へ向かう途中、「まあ社会人の時間的余裕から考えて1つパラメータ調節してたらいい方でしょう、ふっふっふw」なんて考えてのにひどいです。
それと学生大会も3連覇、台湾大会にもアイシス系メンバー様に連れて行っていただき、優勝することが出来ました。今年で学生最後ということもあり、いい成績を残せてよかったです。
機体紹介
とりあえず今回全日本大会に出場した機体L_sens02.6Dの紹介などしたいと思います。
機体名はこれでエルセンスと読みます。僕が一作目に製作した機体のトリロバイトよりラインセンサーが長いことからこういった名前になりました。(fusion360のプロジェクト保存するときにとりあえず付けた名前がlong_sensorだったため、流れで)
ハードウェア設計では機体の低重心化、それと特にイナーシャを小さくすることを意識して以下の様に工夫しました。
・センサー基板はスカスカに(4.7g)、信号線にFFCを使用。
・ファンユニットを固定するためのマウントの材料はCFRP。(https://ja.aliexpress.com/item/32826820227.html?spm=a2g0s.9042311.0.0.3f204c4dPsL1YN)
・基本、ネジの材料は軽さと強度からRENYを使用し、底面などのネジは車高の関係で鉄(ほんとはチタンが良かったけど高い)
・基板をくりぬくことでモーターやバッテリーなどの重いパーツを出来るだけ低く配置
・ダウンフォース用のブラシレスモーターも一時期よりサイズダウン
・ピニオンギヤはジュラルミン製
あとはタイヤもスポンジ&シリコンシートにすることによりゴムタイヤより軽く仕上がっています。
マーカーセンサーもメイン基板とは別の基板になっており、何かトラブルの際も、はんだゴテがあれば新しいものに交換可能です。あえてピンソケットやコネクタを使用していないのはビジュアルの重視の為。
詳細を表にまとめておきます。
機体名 |
L_sens02.6D |
寸法 |
忘れた |
重量 |
忘れた |
RX71M 100pin |
|
モーター |
マクソンDCX10L4.5V |
エンコーダ |
ENX 10 EASY 1024 |
モータードライバ |
TB6614FNG |
ジャイロ |
MPU6000 |
ラインセンサ |
TPR-105*24個 |
マーカーセンサ |
TPR-105*2*2 |
バッテリー |
betaFPV 3s300mAh |
ファンユニットモーター |
betaFPV1103 |
無線モジュール |
TWELITE |
まあ無線モジュール以外はよく見る構成だと思います。気になった方はTwitterなりなんかで質問ください。
ソフト(加速度の話)。
今年実装したソフトの紹介などを少し。
ほとんどの方が加減速走行時の加速度を一定に設定されてる思います。しかしそれでは少しもったいない気がして、僕は以下のような考え方で加速度を設定するアルゴリズムを入れています。
(図1)で、区間①→②→③の順でマシンが走行しているとします。
加減速走行時、 区間③を走行中のマシンは、区間②よりスピードが出せるため加速を行います。
タイヤの限界グリップをGmax(定速走行で順に速度を上げていきマシンの挙動の雰囲気などで決める)として、コーナー旋回時に機体にかかる横Gをax。
加減速走行時にayとaxを合成したものがGmaxを超えないような加速度を設定しています。
ay:加速度
ax:横G
Gmax:タイヤの限界グリップ
図1
具体的にはピタゴラスの定理をピコピコしてゴニョゴニョすればこんな感じになるかと思います。しらけど。
この摩擦円の考え方を使えばコーナーでも直線でもグリップをフルに使った走行が出来るはずです。
本当はタイヤの形状から摩擦円は真円ではないと思いますが、まあとりあえずこれでやってます。
あとは、各駆動系モーターの使用dutyからも加速度を変えています。
モーターLRの各dutyが98%を超えると、現在設定中の加速度から1[m/ss]ずつ制御周期ごとに減らしたり増やしたりしています。そうすることで電源電圧不足でコーナーが曲がり切れないなどのトラブルを減らします。加速度を1msにごとに1m/ssずつ変化させているので躍度1[m/sss]ということになりますね。
右の四角で囲ってる部分でも速度が上がるにつれて、加速度が変化していて面白いです。dytyに少し余裕を持たせることで高速領域で段差などでの急な制御(z軸角速度)が必要な場合でも対応できます。
あとは、グリップが許す限り、加速度をあげまくって走行中のマシンのdytyを100%付近で維持することで早い早いになります。頑張って走行時間中により多くエネルギーを消費しましょう。
デンソーカップ楽しみー
2020年3月7日にデンソーカップが開催されるらしいです。
https://www.facebook.com/robot.d.team/
Aニキが言うにはマイクロマウスの普及以外にも、社内の若手社員に競技者が開発している姿を見せて焦りを感じてほしいのだとか。
私も高校の頃に初めて熱田の森大会で見たロボトレーサのマシン...というか自分が追い求めていた理想のエンジニア像が、イキイキとご自分のマシンを片手に歩いている姿、それを周りも称賛している様子を目の当たりにしてしまい、当時の自分との差からかなりショックを受けた事を覚えています。それからは、何かに取り付かれたように、どうすればああなれるのかを日々考えていた気がします。
あの時から4年?ほど経ちますが、今の自分はあの時見たエンジニアの姿になれているでしょうか。全日本大会で一位を取っても少し寂しい、満足行かない自分がいるというのは、たぶんまだなんだと思います。多分少し寂しいのは、いつの頃からか心のどこかで全日本で優勝すればああなれるとでも思っていたのでしょう。大会の結果では勝っていますが、現実との差で何とも言えない気持ちです。
とりあえず、目の前のデンソーカップ、それと、来年から入社する会社でもロボトレのサークルを立ち上げる話なんかも出ているので、それに向けて準備したいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。それでは皆様、良いお年を。